多くの企業が入社式を行なうこの季節。新しい制服に袖を通した時の初々しい気持ちを思い出す読者も多いのではないだろうか。いつの時代も働く人たちの一番身近にあり、その仕事を支えてきたパートナー、それが「仕事服」である。
色や形だけでなく、細部に至るまで凝らされた多くの工夫や秘密を探ってみた──。
火災の現場にいち早く駆けつけ、消火・救助にあたる消防隊。彼らの仕事は常に危険と隣り合わせだ。明治30年創業、消防装備品を専門に扱う株式会社赤尾の石川修作氏はこう語る。
「最近の消防服は燃えにくい素材を使うのはもちろん、現場で迅速に行動できるよう、人体工学をベースにあらゆる体の動きに対応する立体構造となっています」
背中に担ぐ空気ボンベをあわせると20kgを超える消防服には、安全で的確な消火活動を行なうための様々な工夫が施されている。
例えば、現場出動時に着用する防火服は、1200℃の中、40秒耐えられる素材を「帝人」と協同開発。
消防隊員は膝をつく姿勢をとることも多いため、補強素材を付けることも。また、熱のこもる現場に向かう際は専用の保冷剤を内ポケットに仕込む構造になっている。ちなみに、価格は合計約20万円だ。
※週刊ポスト2017年4月14日号