◆揚げ物を楽しむシニア
シニア向け商品と言えばまずは減塩にカロリーオフ、糖質オフ……一般的には健康志向のワードが浮かぶ。「減らす」「引き算」が主流だろう。それに対して、こってり贅沢な「リッチ」味は、まるで正反対の方向ですが?
「弊社も健康志向のカップ麺を出してきましたが、なかなかヒットにつながらなかったのです。問題はどこにあるのか、シニアは本当は何を求めているのか。徹底的に問い直してみました」
60代以上の消費者へインタビュー調査を重ね、毎日食事の写真を送ってもらったりする等細かく分析していくと……立ち上がってきたのは予想外のシニア像だった。
「健康に気を遣っています、と皆さんおっしゃるのですが、現実は少し違っていて、揚げ物やビールなど、食べたいものを楽しんでいらっしゃる。摂生というより、欲求に素直に行動する層が確実にいる、とわかったのです」
人生を謳歌するシニアの姿。「健康志向」というステレオタイプの決めつけをやめた時、見えてきたのは「アクティブシニア」だった。彼らの欲求に応える商品特性に絞り込み「リッチ」というキーワードが生まれ出た。フカヒレ、スッポン、牛テールというラインナップが決まっていった。
「豪華な食材を使うだけではありません。最初に発売した2品にはコラーゲン1000mgを配合しています。つまり、美味しいものを食べ、さらに健康に良いものをオンする、足し算のコンセプトです」
今60代と言えばカップヌードルを最初に口にした第一世代。彼らに戻ってきてもらうため広告も紙媒体を活用。全国紙の一面でビートたけしが「カップヌードルよりうまいじゃねぇか バカやろう!」と啖呵を切る姿が話題に。
「アクティブシニアというターゲットをきっちりと絞った結果、商品設計から広告プロモーションまで全て一貫性をもって進めることができました」