最近はカラフルな柄が登場し、ワインを包んだり、壁に飾ったりと、活用の幅を広げている風呂敷。そんな風呂敷に、さらに撥水機能が加わり、注目を集めているのが、「超撥水風呂敷『ながれ』」だ。
開発を担当したのは、『朝倉染布』(群馬県桐生市)の久保村健吉さんだ。
「創業(1892年)以来、染色の委託加工を続けてきましたが、繊維関係の国内生産率が減っていく状況に、“このままではいけない、直接消費者に届く自社製品を作ろう”と、思い立ったのです」(久保村さん・以下「」内同)
かつて自社で開発し、布おむつのカバーとして使用していた撥水技術に改良を加えて、洗濯を何度繰り返しても型崩れしない耐久性を追求。高度な耐久性を備えた排水技術を編み出すことに成功した。
この技術は、アテネ五輪以降のオリンピックの競泳水着で採用され、金メダル取得にも貢献しているというが、久保村さんは、生活文化に役立つものが作れないかと、さまざまな商品の開発を試みた。
「この技術で、撥水テーブルクロスやアロハシャツ、ケープなどを作りましたが、売れ行きは伸びませんでした。そんな中、超撥水風呂敷は、エコロジー感も訴求できて、急速に広まっていったんです」
この風呂敷の「超撥水」加工は、水をはじくが、圧力がかかると繊維の隙間を押し広げ、そこから水を通すことが可能。この特性を生かしたのが“バケツ&シャワー”という使い方だ。端を結んで袋状にすれば、約10リットルの水を運べる。ギュッと絞るように圧を掛ければ、シャワーのように水を排出する。使用後は洗濯&アイロンで撥水機能が回復するので、長く使うことができる。
“撥水”とよく似たものに“防水”があるが、防水加工は生地全体をコーティングして水の浸入を防ぐもの。繊維の隙間を埋めてしまうので通気性などはなくなってしまう。
「超撥水加工は、繊維の表面をナノ粒子の炭化フッ素で覆っています。糸の一本一本に撥水加工をしているので、生地に織り上げると表面に水がついてもはじきますが、蒸気や空気は通すことができます」
表面の水滴は、サッと払うだけで飛んでいき、生地の表裏に水分は残らない。急な雨に備えて、バッグに1枚入れておきたい逸品だ。
※女性セブン2017年4月20日号