こうした店舗は全体のなかでは決して多くはないものの、コリアンタウンの中にですら、明確に「韓国人拒否」をうたう飲食店があった。
〈本店恕不接待韓国人(当店は韓国人お断り)〉
こんな張り紙を店頭に掲示するラーメン店の中国人店員は、
「中国人の一人として、愛国心を表明するためです」
と誇らしげに語る。また、
〈当店ではロッテ製品は一切使用していません。我が国政府の厳正な立場を支持します。国家の利益はすべてに勝るのです!〉
とのポスターを掲げる韓国料理店店長は語気を強めこう持論を展開した。
「THAADは中国にとって重大な脅威だ。とりわけ用地を韓国政府に提供したロッテは許さない。中国人は一丸となり韓国に圧力をかけ続けるべきだ!」
韓国料理店で働く中国人が韓国を批判するという若干ややこしい展開だが、「THAAD脅威論」が中国の庶民にも浸透していることは理解できた。取材の道中、50代のタクシー運転手にもこんな話を聞かされた。
「THAADのレーダーは中国東北部を含む領土の大半を見渡すことができる。配備には断固反対だ。韓国は中国を見下しているが、核を2発も撃ち込めば降参するだろう」