政権側が「野党の有力議員をつぶす」ために区割り変更を利用して不利な線引きにするケースは珍しくない。選挙のプロの間で語り草になっているのが2002年の総選挙。当時、民主党代表だった菅直人氏の東京18区で大幅な区割り変更が行なわれ、革新系が強く菅氏の大票田だった三鷹市が他に移され、かわりに保守地盤が強い府中市が加えられた。菅サイドは「あまりに露骨だ」と反発した。
それだけに、長妻氏の地盤を引き裂くかたちで東京7区を5つの特別区にまたがせる案があるという情報にも現実味がある。
ただし、この案だと中野区内にある自民党の松本氏の自宅住所が選挙区外になる可能性が高く、松本氏は自分に1票を入れられなくなる。自民党のベテラン秘書は同情的だ。
「松本先生は次の選挙は中野、渋谷に加えて杉並、世田谷、品川の自民党区議たちや医師会、歯科医師会はじめ業界団体を回らなければならなくなる。挨拶回りだけでもどれだけ大変か。いくら長妻を落とすためとはいえ、そんな区割りは代議士にもスタッフにも迷惑でしょう」
※週刊ポスト2017年4月21日号