トランプ発のフェイクニュースは、すでに100を超えたと報じられている。彼は、「自分は大統領になったのだから何を言ってもいい、何をやってもいい」と思い込んでいるのだろう。
しかし、これだけ傍若無人な振る舞いを続けるトランプは、いずれアメリカ国民やメディアに引きずり降ろされるはずだ。
傍若無人の代表的政策が、中東やアフリカの7か国の国民を入国禁止にした大統領令だ。3月にはイラクを除外して6か国にしたが、差別的な思想は変わっていない。
今年に入ってから、アメリカからカナダへ国境を越える移民が急増している。トランプの移民排斥政策を危惧した人々が、カナダへと逃れているのだ。アップルやグーグルなど先進企業は優秀な頭脳を持った移民がいなければ成り立たない。トランプの安直な政策は、アメリカ経済を破壊しかねないものなのだ。
さらに、トランプは世界の環境をも壊そうとしている。
「第1次世界大戦以来、アメリカ海軍の艦船の数は最小規模となっている。空母を12隻にすることを含め、海軍全体の拡張計画を検討する」
トランプは海軍の新型空母の艦上でこう演説した。現在の保有空母は10隻。国防費を6兆円も増やすという計画を打ち出し、「歴史的な増額とする」と訴えている。
その割を食うのが環境対策予算だ。ロイターは、ホワイトハウスが環境保護局の予算を4分の1減らす提案を行ったと報じた。温室効果ガス削減への補助金を7割も減らすという。トランプにとって「地球環境」はどうでもいいことなのだ。4月には習近平との米中首脳会談が予定されているが、その2人が地球を「人が住めない星」にしてしまうかもしれない。
※SAPIO2017年5月号