今年1月、S記者は某新聞社とテレビ局の番記者2人に「ちょっと話があるから来てほしい」と呼び出されたという。場所は官邸の記者会見場の中にある、各テレビ局の個室ブースだった。そして2人はS記者にこう告げたのだという。
「君が来ると今井さんが対応してくれないから、もう来ないでくれる? その代わり、(今井氏とのやり取りを記した)メモは回すからさ」
S記者はショックを受けたという。
「Sはそれ以来、意気消沈して夜回りをやめてしまいました。上司も、これ以上は辛いだろうと4月から別の記者に交代した。すると、今井さんは朝日にも対応するようになり、他社もそれを見てホッとしたそうです。結局、ウチも含め、みんな今井さんの言いなりになってしまったということです」(同前)
前出の番記者経験者は、こう疑問を呈す。
「S記者に詰め寄った2人の記者は、ともに今井さんと付き合いの長いベテランで、これ以上取材できないのは困ると思ったのでしょう。今井さんの気持ちを“忖度”した部分もあるのかもしれない。しかし、S記者は当然の取材活動をしているだけで、問題があるとすれば今井さんのほう。それを、他社の先輩記者たちで囲んで現場に来させないようにするなんておかしいですよ。まして交換条件として他社にメモを渡すなんて……」
疑問に思う記者はいても、今井氏の機嫌を損なうのが怖くて誰も言い出せない。やはり安倍官邸を増長させているのは、ほかならぬ記者クラブメディアなのである。