同法人はもともと、「4大監査法人」の一角を占めていた中央青山監査法人から一部が独立するかたちで2006年に設立された。
2005年のカネボウ粉飾決算事件で、中央青山監査法人の監査担当者がカネボウに粉飾を指南していたことが発覚し、業務停止処分を受けるなどした際に、分離独立した法人なのだ。その後、中央青山は日興コーディアルグループの有価証券報告書の虚偽記載を見逃していたことも発覚し、解散に追い込まれた。「PwCには、損失隠しを見逃せば自分たちも法人存亡の危機に陥るという意識が強い」(前出の証券会社関係者)というのである。
今回、PwCに「意見不表明」となった経緯などについて尋ねたが、「守秘義務」を理由に回答はなかった。
とはいえ、監査法人を通した決算発表がなければ、東芝の上場廃止は不可避だ。崖っぷち同士の両者のせめぎ合いが、しばらくは市場関係者の注目を集め続けそうだ。
※週刊ポスト2017年4月28日号