古来、中国では最適な組み合わせの食材を調理して薬の代わりにし、食事で病気の予防や治療をしてきた。そんな中国の漢方や薬膳の考えをもとに、食べ合わせの研究を続けてきた“食べ合わせ博士”こと田村哲夫さん(「」内以下同)は、「あらゆる病気は食事で予防できる。大切なのは、正しい食材の組み合わせと、その効能を知ること」と話す。
食材の効能と聞くと、炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルといった“5大栄養素”を思い起こすだろう。食材にはこれらの栄養素のほか、“機能性成分”が含まれており、こちらも栄養素と合わせて、食べ合わせでは重要になる。
例えばトマト。ビタミンA、C、E、B群などの栄養素が豊富に含まれているほか、抗がん作用や認知症予防、抗酸化作用のある“リコピン”や、疲労回復効果のある“クエン酸”、抗酸化や抗がん作用のある“フラボノイド”といった、機能性成分がたくさん含まれている。
「トマトと組み合わせるといい食材としては、クエン酸が豊富なレモン。トマトのクエン酸と反応し、疲労回復効果がパワーアップするうえ、リコピンと組み合わさると、老化防止効果も上がります。また、脳内の老廃物を取り去るデヒドエルゴステロールが含まれるカマンベールチーズを一緒に摂るのもおすすめで、認知症予防の効果が増します」
各食材は単体で食べてもいいが、組み合わせて食べることで、相乗効果で効き目がアップするのだ。
◆組み合わせに迷ったら貝類を1品入れよう
では、健康で長生きするための食材の組み合わせには、どんなものがあるのだろうか。実は、この1品を加えれば間違いないという、究極のアンチエイジング食材があるという。
「それは貝類です。最も効果が高いのはあわびですが、あさりやしじみ、帆立、かきなど貝類全般に、衰えた体力を回復させるなど、生命力を補う栄養素や機能性成分が各種、豊富に含まれています。まさに“長寿の食材”。漢方でも昔から“良薬”として重宝されてきました」
貝は高価なため、毎日食べるのは難しいが、あさりやしじみのみそ汁なら、比較的取り入れやすい。あさりのビタミンB12には認知症予防効果が、そしてみそには抗酸化作用のある大豆イソフラボンが豊富なので、合わせて摂ると老化防止に効果的。
食べるだけで健康になれるなら、始めない理由はない。
※女性セブン2017年5月11・18日号