創業者の伊藤雅俊・名誉会長と大番頭でカリスマ経営者だった鈴木敏文・前会長の“お家騒動”に揺れたセブン&アイ・ホールディングス。結果は、創業家の完勝だった。後藤俊夫・日本経済大学大学院特任教授が言う。
「社長人事を強行しようとして伊藤家の反感を買い、鈴木さんは退任に追い込まれた。鈴木さんのなかには『自分は伊藤オーナーから全権委任されている』という思い込みがあったのでしょう。しかし伊藤氏からすれば、『しょせん雇われ社長なのに』という意識があった。このようにプロ経営者は創業家を無視した途端、あっさり切られてしまうことがある」
その後は一気に鈴木色の払拭と創業家回帰が進んだ。
鈴木氏の後を追うように次男の康弘氏も昨年12月の人事で取締役を退任し、創業家の次男、伊藤順朗氏が常務に昇格した。イトーヨーカ堂のシンボルで鈴木時代に看板から消えた「鳩のマーク」も復活する。
伊藤常務は2月の決算会見に登場し、「長年培ってきた看板であり、それを大事にしたい社員たちの気持ちは強い。各店舗が新たなスタートをした時に変えようという方針だ」と創業精神への回帰を強調した。