芸能

雑誌モデルからAVに転身して「救われた」女優の告白

最悪の状況から脱出するセーフティネットは何か

 最近ではAV出演ときくと、出演強要問題が大きく報じられていることもあり、不本意な仕事だというイメージが強い。しかし、性風俗の仕事にはもともと、窮地に追い込まれた人たちにとってセーフティネットの役割を果たしてきた側面もあった。ライターの森鷹久氏が、芸能の仕事によって絶望に突き落とされ、AVによって最悪の状況から脱出できたと語るある女性のケースを報告する。

 * * *
 筆者はこれまでに「半ば騙されてAVに出演させられた」女性や「強制的にAVに出演させられた」女性などの取材をし記事にしてきた。今回取り上げるのは「AVに出たことで救われた」という稀有な境遇にあった女性の例だ。

「望んでいなかった仕事ですが、事務所もスタッフさんも良くしてくれて、今は本当に楽しく充実しています」

 東京・中野の喫茶店に現れたのは、現役のAV(アダルトビデオ)女優・マイコだ。昨年AVデビューして、企画物や単体作品など数十本のアダルトビデオに出演実績があり、国外でのショーにも参加したりと、大忙しの日々を送る。そんなマイコだが、元々はどこにでもいる普通の女子大生だった。

「街でスカウトされたのがきっかけで、雑誌モデルをやるようになりました。事務所にも所属して、インディーズで歌手デビューするなんていう話を頂いたこともありました」

 そんなマイコに悪い転機が訪れたのは今から3年ほど前のこと。事務所社長に突如呼び出されたマイコは、唐突に肉体関係を迫られたのだった。

「雑誌にもっと出たい、歌手になりたいと思うのなら俺の女になれと、性行為を強要してきたんです。社長には同じ事務所に所属するタレントの彼女がいたので拒否したんですが…」

 立場を利用し仕事をチラつかせ、まさにパワハラ的手法で肉体を求めてきた社長に、マイコが抵抗できるはずもなかった。それからというもの、社長はことあるごとにマイコを呼び出し身体を求め続けたのだという。

「ひどい時は週に4~5回、授業中であっても”今から来い”と電話が来る。少しでも逆らうと”干す”と言われ、従うしかありませんでした」

 では実際、社長のいいなりになっていれば仕事が増えたかというと、そうでもなかった。むしろ仕事量は減り続け、社長は一万円や二万円といった金額で金をせびってくるようにもなった。さすがに限界を感じたマイコは、社長の彼女であるA子に全てを詳らかにしたのだが…。

「A子は”あの人はかわいそうな人なの”といって取り合ってくれませんでしたが、翌日には社長が飛んできて怒鳴りつけられました。性交中に撮影したビデオを売る、などと脅されたかと思うと、最後には泣き出したんです」

 社長は涙ながらに会社の経営状況が芳しくないことをマイコに説明すると、会社に”取締役”として参画してくれないかという驚きの打診をしてきたが、後にさらに驚愕の事実が発覚する。

「結局、会社が抱えていたという一千万ほどの借金を、私に押し付けることが目的でした。社長やA子からも”金を貸してくれ”と泣きつかれ、合計で350万ほど渡してしまいました」

 社長とA子による、マイコへの金の無心はそれからも続き、マイコは500万円近い借金を背負った。社長はマイコを怒鳴ったり殴ったりしたかと思うと、急に泣き喚いて土下座をし謝罪する。マイコの精神状態はすっかり正常ではなくなり、社長の知人が経営するという風俗店で働き、借金を返していこうと決めた。だが…。

「風俗店に勤務しだしてすぐ、私の取り分が異様に低いことに気がつきました。店長や経営者を問い詰めると、稼ぎの一部が社長の元に流れていた。社長は私を”沈めた”んです」

 実は会社に”一千万円”の負債など元々なく、社長とA子がマイコから金を巻き上げる為の嘘だった。二人は、限度額いっぱいまで借金させたマイコから、さらにカネを搾り取ろうと企て、マイコを風俗店に”紹介”した、というのが事実であった。

「何もかもが終わったと思い、自殺未遂もしました。それでも社長やA子は家まで押しかけて業界にいられなくしてやる、私の裸の画像を実家に送る、風俗勤めを友達にバラす、と金をむしり取って行きました」

 身も心もボロボロだったマイコの元に、知り合いのカメラマンから連絡が来た。その人物と知り合ったのは、約一年前の雑誌関係者が主催した飲み会だった。マイコの事情を聞きつけて「AVに出てみないか」と誘われたのだという。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン