日本列島のみならず、朝鮮半島にいる日本人の安全も不安視されています。現在、有事の際に約5万7000人の在韓邦人の救出をどうするかが政府でも検討されています。戦争中に自衛隊が韓国国内で救出活動することを韓国政府は絶対に認めないでしょう。

 これは日本の自衛隊だからということではありません。「反日」といった事情以前に、作戦中に他国の軍隊が出入りすることで混乱を来すからです。他国内での自国民の救出活動は、当事国との合意によって初めて行えるものです。自衛隊の艦艇が韓国の港に接岸することも現状では不可能です。しかし手はあります。自衛隊は艦艇を釜山近海に停泊させます。邦人を釜山に集めヘリコプターで艦艇に移送していくのが、邦人救出の現実的な方法です。

 朝鮮半島で有事となれば、北朝鮮軍の主力は米韓軍によって早いうちに壊滅させられるでしょう。それは北朝鮮もわかっています。これまで北朝鮮はアメリカを本気で怒らせない程度に駆け引きしながら、核とミサイルの実験を繰り返してきました。しかし、いま北朝鮮では核ミサイルの開発は完成、または完成の見通しはついたと見るべきです。北朝鮮はもはや核ミサイルを持った武装国家になったと考えるべきで、それは北朝鮮の脅威のレベルが飛躍的に高まったことを意味します。

※SAPIO2017年6月号

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