• TOP
  • 国内
  • 多死社会で「遺体ホテル」需要増加 保冷庫は常に遺体で満杯

国内

2017.05.16 07:00  女性セブン

多死社会で「遺体ホテル」需要増加 保冷庫は常に遺体で満杯

 そこで問題となるのが、順番待ちをしている間、遺体をどこに安置するかということ。病院では早くベッドを空けるように促され、かといって、自宅に連れ帰るには部屋が狭すぎる。またマンションによっては、規約で遺体を運び込むことが禁止されているところもあるという。

 そこで登場したのが「遺体ホテル」。冒頭の『そうそう』もその1つだ。24時間、年中無休で、死者と遺族の「さよなら」を見守っている。

◆病院で亡くなるとすぐに聞かれる「葬儀はどうしますか?」――“さよならの時間”はない

『そうそう』の建物左にあるインターホンを鳴らすと扉が開く。エントランスは茶色の絨毯に白壁と落ち着いた雰囲気で、突き当たりに受付がある。その手前に自動扉があり、中に入るとA~Jのアルファベットが記された10室の個室が並ぶ。いずれも広さは10~12畳ほど。

 記者が訪れた日、空いていたのは1部屋のみ。中を見せてもらうため抗菌が施された茶色の扉を開けると、鮮やかなグリーンのソファに空気清浄機が置かれていた。部屋の真ん中に棺、その手前に祭壇がある。

「最初の半年はなかなか利用者がいらっしゃらなかったんですが、最近の稼働率は9割を超えています」

 そう話すのは、同社取締役の竹岸久雄さんだ。1泊9000円で、このホテルでお別れをして火葬場に行く形だと、だいたい40万円ほどの費用がかかる。一般的な通夜・葬儀にかかる費用は200万円前後といわれているので、ずいぶんリーズナブルだ。しかし利用者が増えているのはそれだけが理由ではない。背景にはさまざまな事情がある。

「ほんの数年前までは、病院で亡くなっても、そのまま1日くらいはベッドにいることができたんです。でも、今は、1時間ほどで、ご遺体を病院から出さないといけないんです。病院のベッドが空くのを待つ患者は行列を作っていますから…。遺族らは悲しむ時間さえ与えられないのです」(竹岸さん)

 内閣府が2012年に実施した意識調査では、最期を迎えたい場所の最多は「自宅」(54.6%)。これは2番目の「病院などの医療施設」(27.7%)の2倍近くとなっている。しかし実態はどうか。高齢者の死亡場所の約8割は病院で、在宅死はわずか12.7%にすぎない。

関連記事

トピックス