国内

朝日新聞「訂正・おわび」記事 抗議があったら訂正する姿勢

作家・比較文学者の小谷野敦氏

〈当社は、読者の信頼を取り戻すための第一歩として、訂正記事の書き方を変えます〉〈必要に応じて間違えた理由などを丁寧に説明します〉──2014年12月9日、朝日新聞は朝刊紙面でそう宣言した。

 2014年といえば、「慰安婦」、「吉田調書」の記事取り消しや訂正、謝罪に追われた年である。翌2015年4月からは「訂正・おわび」を社会面に集約。2段抜きの見出しで掲載するようになった。そうした取り組みの“成果”として、訂正・おわびの件数が月平均27件と、以前の倍以上に増えた(2014年10月から2015年6月まで)。

 現在も数多くの訂正記事が出ている。〈「間違った記事は速やかに訂正する」姿勢を社内で徹底した結果〉(同紙2015年8月22日付朝刊より)だと朝日は言う。しかし、「羹に懲りて膾を吹く」ような訂正も少なくない。それらの訂正記事を作家・比較文学者の小谷野敦氏が分析する。

 * * *
 かつて、『日本売春史』(新潮社)という私の著書の書評が朝日新聞に掲載されたことがある。その内容に誤りがあったので、朝日に対応を求めた。詳細は後述するが、書評は朝日のウェブサイト上に今も掲載されており、誤りは訂正も削除もされないままだ。

 長く、朝日をはじめとする新聞記事の誤りに注目してきたが、最近の朝日の「訂正・おわび」記事を検証すると、目を引くものがいくつかある。

 たとえば、戦後70年の「安倍談話」作成に向けて行われた「有識者懇談会」の議論を報じた記事(2015年3月14日付朝刊)で朝日は、〈北岡氏「侵略戦争」〉の見出しで、出席者の北岡伸一が先の大戦について、〈「侵略戦争であった」との認識を示した〉と書いた。

 だがその翌日、次のように訂正した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン