◆土井たか子との大激論

 岸氏の思想を受け継ぐ安倍首相と中曽根氏の改憲論の最大の違いは、憲法を安全保障など「国家運営のツール」と捉えるか、より広い視野で国家の将来のあり方を考えるかという立脚点の違いにあるのではないか。

 中曽根氏の秘書だった島村宜伸・元農水相は「中曽根さんは総理になっても自分が納得するまで深夜寝ないで勉強し、思索に耽っていた。だから憲法学者と議論するときも様々な学説をあげ、学者より詳しいと感じるほどだった」と語る。

 そうした思索の一端を中曽根氏が本誌・週刊ポスト(2000年1月1日・17日合併号)で明らかにしたことがある。

〈憲法とは何かを考えていただきたい。一般的には、国家あるいは社会のフレーム、型枠をつくるものと考えておられるけれども、もっと大事な憲法の生命の中核は、歴史と伝統をともに携えて同じ言葉を話し、同じ文化を持ち、そして運命をともにしていこうとする民衆の、民族のつくる共同体です。(中略)だから、歴史と伝統を無視した憲法はあり得ないというのが私の考えです〉

〈ナショナリズムのうえにリージョナリズムがあり、EUなんか国家主権が相当制約されてきている。さらにグローバリズムと、来世紀(21世紀)は主権の相克が起きてくる。それをどの程度見越して調和した憲法にしていくかが重要です〉

“押し付け憲法論”一辺倒の安倍首相とは思想の厚みが違う。

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