とはいえ、「ソニーの生きる道ははっきりしてきた」と一定の評価を下す向きもある。そのキーワードになるのが、ここ最近、平井社長がよく口にする〈ラスト・ワン・インチ〉と〈リカーリングビジネス〉だ。
「ソニーは消費者との接点を持ち続け、今後もハードにこだわって人々に感動を与えたいとの意味を強調するため〈ラスト・ワン・インチ〉と表現しています。そのうえで、ネットワークサービスなど顧客から定期的に収益を得る〈リカーリングビジネス〉に結び付けて成長しようとしています。
もっともこれは20年近く前からスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)が『iPod』や『iTunes』でやり始めたことですが、平井社長はようやく“ソニーは何の会社なのか”という疑問に答えたことになります」(関氏)
だが、消費者向けビジネスから手を引く家電メーカーが多い中、ソニーが消費者に感動を与え続けるには、かつてウォークマンで世界を席巻したように、魅力ある製品を生み出さなければならないのは言うまでもない。最後に関氏もこう指摘する。
「ラスト・ワン・インチを埋めるようなソニーらしいヒット商品を開発できるかどうかが最大の課題です。それがない限り、いくら利益が出ても、ソニー完全復活とは世間も認めないでしょう」