国内に拠点を持つ外資系企業による買収事例も含めると、外国資本による買収面積は777ヘクタールに及ぶ。東京ディズニーランド(51ヘクタール)15個分にも相当する広大な土地が、わずか1年の間に外国資本に買い占められていたのだ。
注目すべきは買収された森林のほとんどが北海道にあること、そして香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる点だ。そのほかにも華僑の多いシンガポールやマレーシア、ペーパーカンパニーの拠点となっている英領ヴァージン諸島などが所在地とされている。
中国資本による道内の土地買収等の動きを長年調査している元北海道議の小野寺秀氏がこう話す。
「他国や日本企業を隠れ蓑にしたケースも多く、調査されているのは氷山の一角に過ぎません。現在、中国資本による日本の土地買い占めの一番の“草刈り場”になっているのが北海道の森林です。安く広大な土地が買えるうえ、水源地が近く利用価値が高いためです。さらに中国は森林だけでなく、レジャー施設や農地など様々な土地を狙っています。いずれも広大な土地を一挙に取得する機会を窺っているのが特徴です」
実際にこんなケースがあった。2010年夏、北海道伊達市にあるゴルフコースを含む森林を中国資本A社が15億円で買収。当時、民事再生中にあった同ゴルフ場の価値(再生債権額)は3億円に過ぎなかったが、A社はその5倍の15億円で買い取ったという。
「現在に至るもゴルフ場の運営は再開されておらず、別の施設への転換も図られていません。一体、何の目的で買ったのかが不明で、地元でも訝る声は多い。
その後の調査で、ゴルフ場周辺に家がポツリポツリと点在する形で建てられていることが分かりました。けれど表札も出ていなければ、監視カメラや囲いなどによって容易に近づくことすらできない家も多い。国籍も含め、誰が住んでいるのか全く不明なのです」(前出・小野寺氏)