「拷問禁止委員会は、1984年に国連総会で採択された拷問禁止条約に基づいて設置された委員会で、10名の独立専門家で構成されます。
委員は条約加盟国が任命し(日本は1999年に条約に加入)、国連から任命されているわけではなく、国連に属する機関ではない。委員会の見解は国連から独立した専門家のものであって、国連を代表するものでありません」
だが、前述のように、主だったメディアは同委員会をあたかも国連内部の組織だと誤解を招くような表現で報じており、その見解が国連を代表するものだとミスリードしかねない。
現に、潘基文・前国連事務総長が日韓合意直後に「歓迎する」と高く評価していたにもかかわらず、この勧告を受けて、韓国国内では“国連のお墨付きを得た”とばかりに日韓合意の再交渉を正当化するような論調が出始めている。ソウル聯合ニュースは「韓国外交部の当局者」の話として、勧告を「留意」しており、内容について関係官庁と検討中だと伝えた。
日韓合意については、2016年3月にも「女子差別撤廃委員会」が「被害者を中心に据えたアプローチを採用していない」と批判したが、この「女子差別撤廃委員会」も国連に属す機関ではない。1979年に採択された女子差別撤廃条約に基づき、条約締結国が選出した委員で構成される。つまり、今回とまったく同じ構図だ。
ちなみに、この委員会は2016年の「最終見解」の原案では、男系男子の皇族のみに皇位継承権があるのは女性への差別だとして「皇室典範」の見直しを求めていたことでも有名だ(日本政府の抗議で最終見解では削除)。