これら「人権条約機関」の勧告や見解は、独立した専門家の意見だと冷静に捉える必要があるが、なかなかそうなっていない。前出の楊井氏はその背景に“国連信仰”があると指摘する。

「『国連の勧告だから真摯に受け止めるべきだ』と国連の権威を笠に着る者と、『偏った勧告を出すような国連はけしからんから、負担金を削減すべきだ』と国連を批判する者と、双方が“国連という大きな存在”というイメージを利用している。“国連信仰”と言っても過言ではない。

 今回の勧告は、国連の一機関が出した見解ではなく、締結国への法的拘束力もないので、冷静に受け止めるべきです。ただ、日本も条約を締結している以上、その精神に則って問題解決に取り組んできたことをしっかり説明すればよいのではないでしょうか」

 日本政府は22日に拷問禁止委員会に対して日韓合意を見直す必要はないとする反論文書を提出したが、そもそも「専門家」が、ある政治思想を持った人権団体やNGOからの積極的な情報提供、ロビー活動の影響を受けているとの指摘もかねてからある。

 勧告が出てからではなく、日頃の情報発信がますます重要性を増している。

※SAPIO2017年7月号

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