だが、企業の危機管理の専門家、田中辰巳・リスク・ヘッジ代表は官邸のスキャンダル対応を「素人同然」と酷評する。
「森友・加計問題で、官邸は感情的になって3つのミスを犯した。まず首相が国会で『関係していたら総理も議員も辞める』と曖昧な条件で進退に言及したこと。野党に突っ込む隙を与えた。せめて『私が職務権限を用いていたのなら』と具体的に言うべきだった。
2つ目は政権側が早い段階で告発者の森友学園の籠池泰典・前理事長、前川喜平・前文科次官を非難した点。告発者は反論し、劇場型の展開になって国民の関心を高めてしまった。
3つ目は国民がどんな対応を求めているかを読み違った。今回の件で国民は責任の所在の明確化を求めている。政府がすべきだったのは『官僚の忖度禁止』のルールを決めること。
それなのに官邸は、昭恵夫人の立場について『私の家内は私人』とか、『教育勅語が教材として使われることは否定されない』と閣議決定し、首相夫人は私人か公人かといった論争まで生んで騒ぎを大きくしてしまった。全くの素人。どこに危機管理があるのか」