リサイタルでは、45周年を記念して発売された、自身初となる3枚組のオールタイムベスト盤『STANDARD~呼吸~』の中から、「いい日旅立ち」や「22歳」、「昴」などのスタンダード・ナンバーをたっぷりと披露した。
しかしひとくちに45周年といっても、簡単なことではない。谷村新司は、なぜこれほど長い間、一線に立ち続けることができるのか。
「僕にもわからないです(笑い)。でも、スランプを経験したことはないんです。スランプって、その人がそう思うからスランプになる。ようは気の持ち方次第では……ネガティヴな考え方をする人っていますよね?『何で皆そうなんだろう?』って僕は疑問に思う。
たとえば嫌なことがあった時、3日間何もしない人がいる。でもその間、もし歩いてみたら随分遠くに行けますよね。3日間、死ぬ気で勉強したら何でも学べる。くよくよするのは無駄なエネルギーです。その時間がもったいないです」
◆55歳で一度人生を“空っぽ”にする
とはいえ、人生には逆風も吹く。時としてうまくいかないこともある。
「向かい風?『おっ、チャンスが来たな』って思っています。飛行機でも凧でも、舞い上がるのはアゲインストの時です。追い風のほうが実は危険(笑い)。追い風の時には、色んな人が集まってくるでしょ? そういう人を僕はあまり信じません。逆に、向かい風の時に来てくれる人を大事にしたい」