昨今、とても質のいい、おいしい日本酒を飲ませる店が多いが、店のキャパからしたら酒の種類が多すぎやしないかと心配させられる店もある。逆に、昔ある酒場では、開封後はさっさと飲まないと味が変わってしまうからと、常時3本の酒しか飲ませないと言う親父にも会った。
この店の場合、開封後3日で消費しきってしまうことを品質維持上の目標としていたから、客は、銘柄を選べなかった。本末転倒というものだが、文句を言う客はひとりもいなかったし、私も、そのやり方が嫌いではなかった。
これからの季節だと、枝豆を頼んだらやっぱり、茹でたてが出てくるとうれしい。それから、ちょっと青臭いくらいのトマトと谷中しょうががあれば万全。季節もの、ということなのだが、その季節にうまくなるものを並べて、ゆっくりと飲みにかかるときほど、気分のいい時刻はない。
まだ、夕方くらいがいいんです。
「三浦の地ダコ、入りましたよ」なんか言ってもらえたら最高だ。タコブツでひや酒にしよう。
「最後に、タコ飯炊いてよ」
そんなわがままも言ってみたい。
7月なら日本海の岩カキ。これまでの最高と思われたのは、象潟(きさかた)のカキで、バーのカウンターで生のままをズルズルとやって、冷たいウォッカを流し込んだ。