白井名誉教授は糖尿病患者を対象に、総カロリー1600キロカロリーで糖質47%・脂質35%の低糖質食と、糖質57%・脂質25%の高糖質食を摂った場合の24時間の持続血糖モニタリング調査を実施した。すると低糖質食の食後血糖値は、高糖質食より60%程度低くなるという結果となった。
エネルギー制限と糖質制限食は血糖値だけでなく、血圧中性脂肪値、善玉コレステロール値にも影響を与える。総カロリーに占める糖質の割合が45%の低糖質食と、55%の高糖質食を2週間交互で摂取したところ、低糖質食の方が空腹時血糖値と、中性脂肪値が優位に低下、逆に善玉コレステロールは上昇した。
「食事療法は、入院すれば可能ですが、家庭では食事ごとにカロリー計算と、糖質の割合を45%にするのは無理があります。そこで1食をたんぱく質、ビタミン、ミネラルを十分量含んだフォーミュラ食(調整食)に変えるだけで、糖質制限と、減量効果を上げることが可能です」(白井名誉教授)
フォーミュラ食は、動物性たんぱく質(ホエイ=乳清をベース20グラム)に総合ビタミンとミネラルが含まれている食品で、総カロリー約180キロカロリーの粉末を水に溶いて飲む。これに加えて毎日体重を記録し、グラフで見える化することで、運動量も含め、体重変動の原因が自ずとわかってくると楽しく食生活の改善も可能だ。さらに医師、栄養士のみならず、家族や周囲の人たちの注目と励ましも欠かせない。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年6月23日号