「お笑い芸人の数が劇的に増え、レベルが上昇していったことも大きい。スタジオの話術だけで盛り上がれば、出演料だけで済むので、時代とマッチしたのでしょう。メイン司会者はそれなりの金額を持っていきますが、ひな壇芸人はギャラも抑えられるので、良いこと尽くめだったんです」
1つヒット作が生まれると、追随されるのがこの世界の常。一時期、バラエティはひな壇番組とネタ番組で溢れ返る状況が生まれた。そんな時代の流れに乗ることなどなく、萩本は「ヒントは『遠い』と『辛い』だ」と言ったのだ。
「萩本さんの言葉は、抽象的でよくわからないことがある(笑い)。萩本さん自身も、全部教えずに、敢えて考えさせる狙いがあるようです。そういう点でも、意図をちゃんと読んでそれを実践したディレクターは優秀ですね」(同前)
以前、萩本は自分の番組で子役を起用する時、ディレクターに相談すると、児童劇団に電話をする方法を提案されたという。「それはやめてくれ」と告げたところ、ADがあらゆる幼稚園や保育園へ足を運び、苦労した末に見つけた1人の男の子を推薦すると、萩本はこう言ったという。
〈「お前たち、二度警察に捕まりそうになったらしいな。辛い思いをしてきたんだから、外れは絶対にない。お前たちの努力で、きっといい運がついたから、その子に決めた!」(前出の著書より)
その子役を起用すると、視聴率も大きく上昇したという。テレビ事情に詳しい芸能担当記者が話す。