──安倍首相同様、あなたも「占領下に制定された憲法は無効である」と主張していた。
小沢:そう、法律論から言えば無効です。民法にも、強制下で結んだ契約は無効だとはっきり書いてある。これは万国共通の考え方だ。
そうではあるけれども、現憲法は明治憲法の改正手続きに則って行なわれ、国会で承認されてから70年が経つ。国民にも定着しているから、時間をかけて議論して不都合な箇所を修正していけばいいと考えている。
安倍さんが占領下に定めた憲法だから駄目だと改憲をいうなら、改正ではなく、破棄すると言うべきです。党首討論でそう質問したら、安倍さんは「いや、いいところはいいんです」と。論理的に憲法を理解している人じゃないから、全く理屈が通らない。
──では、政治家にとって憲法改正はどんな意味を持つのか。
小沢:憲法というのは国民の権利、国民の命と暮らしを守るためにみんなで決めた最高のルールです。99条では、天皇、国務大臣、国会議員、裁判官、公務員は「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めている。
権力の座にあるものが、その権力を利用して国民の権利を侵害してはならないという規定だ。けれども、時代に合わなくなったり、抜けていたりする部分は変えなくてはならない。それは政治家の責任であって、「改憲派」「護憲派」と色分けして何も議論しない状況はよくない。時間をかけてじっくり議論すればいい。