「わかっちゃいるけどやめられない」「ハイそれまでよ」など、1962年も植木等の勢いは続きます。飲んだ後で誘惑に負けてラーメンを食べてしまっても、あのメロディで「わかっちゃいるけどやめられない」と歌えば、自己嫌悪を吹き飛ばして楽しい気持ちになれるはず。競馬で見事に外したときは、やはりメロディ付きで「ハイそれまでぇ~よ」と呟いて自分を慰めましょう。この言葉があれば、もし妻に捨てられても強く生きていけそうです。
1963年は「カワイコちゃん」や「ピンク映画」が流行語になりました。「お宅の会社のカワイコちゃんは元気ですか」「おいおい、ピンク映画じゃないんだから」といった調子で、積極的に使いたいところ。同年代の女性がうかない顔をしていたら、「カワイコちゃんが台無しだぞ」と声をかければ、きっと元気になってくれるでしょう。ただし、若い女性に同じことを言うと、気持ち悪いと思われる可能性が大。言葉というのは難しいものです。
東京オリンピックがあった1964年は、女子バレーチームの監督が言った「おれについてこい」が流行語に。ここぞという場面でこう言える上司や先輩を目指したいものです。赤塚不二夫のマンガから生まれた「シェー」が流行り始めたのも、この年。カメラを向けられたときは、すかさずシェーのポーズをしてみるのはどうでしょうか。ギックリ腰や五十肩には、くれぐれもお気を付けください。
1965年に出てきた言葉で注目したいのが「モーテル」と「フィーリング」。女性に「ぼくたちはフィーリングが合うみたいだね」と言って意気投合してからの「モーテルに寄っていかないかい」と誘う──。いつの日かそんな状況になることを妄想しながら、強く生きていきましょう。ちなみに、金田正一の著書から生まれた「やったるで」も流行語になりました。