ライフ

おっさんが流行語を使うなら「35億」より「ボイン」との説

おっさんジョーク炸裂(写真:アフロ)

 2017年上半期の流行語が発表された。だがおっさんが今どきの流行り言葉を勇んで使うと恥をかくのは見えている。「おっさんにはおっさんの流行語がある」。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が説く。

 * * *
 1位は「35億」(ブルゾンちえみwithB)、2位は「忖度(そんたく)」(政治家や官僚のみなさん)、3位は「プレミアムフライデー」(経産省と経団連?)でした。「マイナビ学生の窓口」が大学生男女401人(男性202人、女性199人)を対象に、「2017年上半期に流行った言葉はなんだと思いますか?」と尋ねたアンケートの結果です。

「そうか流行っているのか!」と思って、明日さっそく若者の前で「35億」と言ってやろうと思ったあなた、悪いことを言わないからやめておきましょう。私たちおっさんが無理に若者の流行語を使おうとすることほど、そして微妙に旬を過ぎたギャグを得意気に繰り出すことほど、痛々しくて物悲しくて聞く側の顔を引きつらせるものはありません。

 おっさんにはおっさんの戦い方があります。少し前に、カールの悲劇を繰り返さないために「同い年」のお菓子を応援しようと訴えました。「同い年」が存在するのは、お菓子だけではありません。おっさんの血となり肉となっている流行語やギャグもあるはず。中途半端に古い流行語で失笑されるぐらいなら、思いっきり古い流行語を繰り出して、いっそのことあ然とさせてしまいましょう。

「同い年」の流行語は、いわば一生のパートナー。時に慰め合い、時に励まし合いたいもの。1960年代の流行語を順に振り返ってみます。

 1960年に流行ったのが、週刊誌のトップ記事を狙うフリーの記者を指す「トップ屋」や、無意味な行動のことをいう「ナンセンス」。週刊誌のスクープ記事が話題になったら、「あそこのトップ屋もやるなあ」と感心しましょう。会社の上層部から理不尽な指示を受けたときは、力強く「ナンセーンス!」と言って拒否したいところ。驚かれそうですけど、あとで「いや、じつはこの言葉と同い年で」と説明すれば納得してくれるはず。

 1961年の流行語でぜひ使ってみたいのは、植木等が使った「お呼びでない」。楽しそうに話している若者たちの輪に無理やり加わり、「お呼びでない、お呼びでない? こりゃまた失礼いたしましたー」と言いながら立ち去りましょう。林家三平の「どーもすいません」も使い勝手がよさそうです。上司や取引先に謝るときは、表面的にはさておき、内心ではこうの口調で言っているつもりでいれば辛くはありません。うっかり表面的にもこの口調になってしまったら、たいへんなことになりそうですが。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン