郭氏は中国内のビジネスでも曾氏との関係を利用しており、馬氏にも賄賂を贈るなどして、利権を拡大していった。しかし、習近平指導部による反腐敗運動で、馬氏が逮捕されたことから、身の危険を感じて、2015年には香港から米国に渡って、姿を消した。
その際、多額の現金とともに、馬氏から得た中国共産党・政府高官のプライベートな情報や党政府機関の機密書類も多数持っていったことから、中国当局は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際指名手配をかけている。
その後、この5月には米国政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」に出演して、「習近平国家主席は『自分は王岐山・中央規律検査委員会書記や、孟建柱・中央政法委員会書記を利用はしているが信用していない』と傅政華公安部副部長に語り、王や孟の親族が関わっている腐敗問題の調査を開始させた」などと語った。
これが事実かどうかは、定かではないが、王氏や孟氏は習氏の側近であり、とくに王氏は習氏が腹心とも頼む間柄だけに、香港メディアは「郭文貴の逆襲が始まった」などと伝えている。今後、郭氏によって、政権内部のスキャンダルが流されれば、今年の秋に第19回党大会が開催されることもあって、習氏への打撃ともなりかねず、習指導部は郭氏の消息を懸命に追っているという。