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2017.07.05 16:00  週刊ポスト

作家が銭湯で会っていた「絶対見せないさん」の芸術技

 あの人は、足の小指がないんだとか、あの人は、いつも真っ白のパンツ穿いてんだよな、あの人は肩に中途半端な刺青があるんだ、などと、服を着ていてはわからない部分を知っているという優越感。自慢げに書きましたが、本当にどうでもいい優越感です。

 しかし、ひとりだけ謎の男がいました。わたしは、その彼に、「絶対見せないさん」というあだ名をつけていました。

 色白の肌、頭頂部が薄いのに長髪で、少し腹が出ていました。あだ名の通り、絶対にイチモツを見せないのです。鉄壁の隠し技。銭湯だと執拗に隠していると、逆におかしいのですが、彼は常に小さなタオルを腰に巻いていました。お腹が出ているので、結び目が小さいのが危うい、でも絶対に外れない。

 しかし、ずっと腰に巻いているわけにはいきません。なぜなら湯船にタオルを浸けるのはマナー違反だからです。でも彼は心得ています。湯船の中に立って、かがむとき、股間が湯に入るか入らないかの瞬間、タオルを「サッ」と取るのです。この「サッ」が芸術的に素晴らしい、無駄がない。出るときも「サッ」と腰に巻き、決してタオルは湯に浸からない。そして見せない、絶対に見えない。

 タオルの向こうは? とんでもなくデカイのか、小さいのか、もしかしたら何も無いのか、ドラゴンなのか? ヘビなのか? 物凄い疑問にかられ、何度も、のぞこうとしましたが、惨敗でした。

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