あそこまで執拗に、見せたくないのなら、風呂付きの部屋を借りればいいのにと思いましたが、やはり銭湯の気持ち良さは、絶対に見せないという労力を使っても、魅力的なのかもしれません。「絶対見せないさん」、いまはどうしてるのでしょう。まだ銭湯に通っているのかな。
●いぬい・あきと/1971年東京都生まれ。作家。「鉄割アルバトロスケット」主宰。2008年小説家デビュー。『ひっ』『ぴんぞろ』『まずいスープ』『どろにやいと』が芥川賞候補に。『すっぽん心中』で川端賞受賞。著作『俳優・亀岡拓次』が映画化。現在DVDが発売中。『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞受賞。散歩ばかりしている。
※週刊ポスト2017年7月14日号