ゴルフ&人間ドックがセットになったこのツアーの料金は、締めて237万円。航空券は別料金なので、ビジネスクラスを使って日本でショッピングも楽しむとなれば、1人300万円ほどになるだろう。中国語のパンフレットには「日本=安心・高品質」の文字が躍り、日本の医療に対する信頼の高さを感じさせる。
こうした中国人富裕層の訪日医療ツアーは2000年代から始まっていたが、2011年の東日本大震災や2012年の尖閣問題で一時は退潮傾向にあった。それが個人旅行者の増加とともに、近年再び脚光を浴びている。
インバウンド評論家で、自身も日本で医療を受けようとする中国人らの相談に乗ったことのある中村正人氏が語る。
「吉林省からやってきた60代の父親と40代の息子の親子連れのケースでは、父親が喉頭がんの末期状態で、余命1か月と診断されていた。息子は会社経営をしている富裕層で、父親のがん手術のため医療滞在ビザを取得して日本にやってきたのです」
1か月間ほど日本で入院し、手術は無事成功。治療費は約2000万円にのぼったが、全額をキャッシュで支払ったという。
また、息子のほかに付き添いの家族が約10人も来日し、東京タワーが一望できる都内の高級ホテルや、都心の最高級サービスアパートメントに宿泊。滞在費だけで100万円を超えたが、日本ならではのきめ細かなサービスを堪能した。