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金正恩委員長の少々不穏な夫婦関係を臨床心理士が分析

 1つは、金委員長の権威やカリスマ性をこれまで以上にアップさせるため。彼はもう、なれなれしく、いちゃつくことができない立場であり、夫人でさえ距離を置き従う姿を見せることで、彼をさらに厳格で力強いリーダーに見せる意図があるのかも。そう考えると、夫人が左手首を少し持ち上げ手を握りしめ、笑顔を見せることもなく、硬い表情で緊張しているようにも見えるのもわかるだろう。

 2つ目は、二人の夫婦関係が、以前より少しぎこちなくなってきている可能性。関係がよく、互いの気持ちや感情を共有できていると、表情や仕草を無意識に真似し同調するミラーリングが頻繁に見られるものだ。さらに関係が親密になればなるほど、姿勢や歩幅など細かなリズムで同調し合い、仕草を真似るより、それを行うタイミングやリズムでミラーリングが行われる。二人の間の関係性が微妙に変化しているのか、それとも祝宴前に喧嘩でもしたのか? 映像を見る限り、金委員長と夫人は、このミラーリングのリズムが崩れてきているのかもしれない。

 乾杯の時も、金委員長は夫人の方を向いたものの、彼女はグラスを持つのが遅れる。すると、彼は彼女をスルーして幹部と杯を合わせた。夫人は髪を手で撫でてからグラスを手にした。夫が自分をスルーするとは思わなかったのか、無意識に髪を撫でることで自分の気持ちをなだめていたように見える。とはいえ、流れるミサイル発射の映像を見ていた時は、二人とも、両肘をテーブルの上に立てて手を組みミラーリング。お互いの心が離れてしまったわけではないようだ。

 3つ目は、金委員長の歩きを、夫人が気にしていた可能性だ。金委員長は右足に問題があると言われていて、過去に何度も、右足をかばったり引きずったりする姿が捉えられている。3月に平壌の幹部学校を夫人と共に植樹に訪れた際には、腕を組んで仲むつまじい様子が写真に撮られている。だが、そのうちの1枚を見ると、腕を組むというより、夫人が右手で彼の腕を抱え、手を引いているようにも見える。そしてもう片方では、学生たちが金委員長を支えているようなのだ。

 今回の祝宴の映像では、金委員長は重い足取りながら、右足を引きずることなく歩いていた。だが時折、足運びのバランスが微妙に変わり、肩が揺れる時があった。もしも彼の足や体調に、相変わらず一抹の不安があるのだとしたら──祝の宴だというのに、夫人が堅く冴えない表情で左手をぎゅっと握り、視線を下に向けて彼の後ろを歩いているのも、腑に落ちる気がする。

 夫人が姿を現した真相は謎だが、欧米の国々に譲歩する気はさらさらないということは推察できる。いったい北朝鮮はどこへ向かうのか。

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