東京消防庁管内では、2012年から2016年の5年間で5才以下の子供108人がベランダや窓からの墜落により、救急搬送されている。
そのうち入院が必要なケースは8割を超えており、生命の危険が高いとされる重症以上も4割以上となっている。
「見守りには限界があります。また、ベランダに出てはいけないと子供に言い聞かせても、理解していないケースが多いのです」(Safe Kids Japan理事長で、小児科医の山中龍宏さん)
では、ベランダの安全対策はどうすればいいのか。
第1に、子供が小さいうちは花台や物置など、踏み台になるようなものは置かないこと。とはいえエアコンの室外機は、他に置く場所がない場合も多いが、転落防止柵から最低でも60cmは離して設置しておこう。
また、幅の狭いベランダの場合、室外機の上部に板を斜めに設置すれば、幼児が登りにくくなる。
これでひと安心と思いきや、柵そのものが危険な場合もある。それは、柵に横長に開いた隙間だ。この隙間を足がかりに子供がよじ登ってしまう可能性があるのだ。
3才児を例にとると、足の親指先端の厚みは平均1.2cm。つまり、柵にこれ以上の隙間があれば、子供にとって危険な柵といわざるを得ない。子供をベランダに出さないために、市販の補助鍵などを窓の高い位置に設置するのも有効だ。
ベランダだけではなく、窓からの転落にも細心の注意が必要だ。
「母親がトイレに行った隙に、2才児が7階の開いた窓から転落した」「2階の窓枠からベッドに向かって飛び降りる遊びをしていたところ、誤って窓枠から網戸ごと2才児が墜落」などの事故が東京消防庁管内で起きている。
また、発生階に注目してみると108件のうち、2階からの転落が67件、3階からが23件と多数を占める。
階数が高いほど親の警戒は強まるが、2階や3階だと、気が緩む場合があるということか。しかも2階で3件、3階では5件が重篤な状態に陥っている。子供が小さいうちは窓際に、ソファやベビーベッド、踏み台になるようなものを置いてはいけない。
※女性セブン2017年8月3日号