国内

歩きスマホの人を狙う「当たり屋」 都市部でトラブル続出

歩きスマホの人を狙う「当たり屋」に注意

 兵庫県神戸市JR三ノ宮駅のホームで、歩きながらスマートフォンを操作していた女性に体当たりし転倒させ重傷を負わせたとして、60代の作家兼ミュージシャンの男性が22日までに逮捕、送検された。このニュースが報じられると、SNS上では「やはり歩きスマホは危ない」といった声とともに、「スマホを見ている人にわざとぶつかってくる人がいて怖い」という声も多くあがった。

 事件が起きた地元の神戸新聞が報じた内容をみると、この60代男性は、SNS上で「怖い」と言われている、スマホを操作している人にわざとぶつかる行為を繰り返していた疑いがある。

「同駅では19日、ホームでスマホ操作中の乗客が何者かにぶつかられた事案があったほか、20日には、男と別の乗客がトラブルとなり、同駅から通報を受けた同署員が駆け付ける事案があった。その際、男は『相手にスマホを当てられた』と話していたという」(神戸新聞電子版 2017年7月22日付)

 逮捕と送検の対象となった19日午後7時半頃に起きた事件以外にも、この男は同種の「人にぶつかる事件」を同じ駅で何度も起こしていたのだ。

 今回、逮捕に至った事件の被害女性は、頭を打って一時意識不明の重体となっていたが、男は「相手がスマホをしているのが悪い」と述べているという。歩きスマホが危険であることは間違いない。しかし、スマホを見ている人にわざとぶつかる行為は、輪をかけて危険なだけでなく、今回逮捕された男のように傷害などの違法行為につながる可能性が高い。

 この男のように、わざとぶつかる人は都市部を中心に一定数、存在している。北陸地方在住の30代女性は、出張で東京に来た折、わざとぶつかられてとても怖い思いをしたと話す。

「新幹線から乗り換え改札を出て、行き先を確かめようとスマホを見ていたら、ものすごい勢いで歩いてきた男性にぶつかられました。ぶつかってきた男性は何も言わず、振り返りもせずに去って行ったので、尻もちをついたまま後ろ姿を呆然と見るしかありませんでした。通る人がいても5メートル前くらいに気づいて移動できるだろう間隔を見計らった場所を選んで立っていたから、普通のスピードで来られればよけられたのに、無理な速さでした」

 都内で働く40代男性も、初めて降りた駅でスマホの地図アプリを見ていたところ、どう考えても「わざと」ぶつかられる体験をした。

「改札を出て少し歩いてから、地図アプリを見ていたら、自分よりも少し年上の男性にぶつかられました。すごく不自然にこちらに向かってきて歩き去ったので、わざとだと思うんです。付近には、他にもスマホを見ている人はいました。そのなかで、それほど体が大きくなくて、強く反発しそうにない見た目の自分を選んでぶつかったんだと思います」

 彼のように、人を選んでぶつかられたと話す人は少なくない。東京近郊に住む女子大学生は、「露骨に相手を選んでますよ」と苦笑いする。

「ターミナル駅付近で、スマホを見ている人にぶつかるのを繰り返すおじさんがいます。狙うのは主に一人でいる女性。男性と一緒だったり、服装が派手で気が強そうな人には絶対に近寄らない。私も友だちと待ち合わせ中にスマホを見ていたら、不自然に向かってきたおじさんにぶつかられて転びました。ちょうどやってきた友だちがものすごい剣幕で怒鳴ったら、すごい勢いで逃げられました」

 少数だが、自分も歩きスマホにはわざとぶつかっているとSNSで発言する人たちがいる。一年前にアプリゲーム『ポケモンGO』が大流行し、歩きスマホしながらゲームをする人が増えた頃から「わざとぶつかりにいってる」「わざと体寄せてぶつかってる」「注意喚起のためにわざとぶつかってる」とSNSで誇らしげに宣言する匿名アカウントが続出した。

 スマホ当たり屋と呼ばれることもある彼らは、自分がSNSで宣言している内容が傷害罪につながる可能性はあまり考えていない。流行に流されない自分たちは他とは違うと主張し、ネットでウケる「ネタ」のひとつを提示しているにすぎない。彼らなりの正義を叫ぶ言葉の強さとはうらはらに、実行しない人も多い。ところが、ネタの発言数が増えると、それを現実にしても許されると思い込む人があらわれる現象が近年、目に見えて増えている。

関連記事

トピックス

性的暴行疑いで書類送検されたお笑いコンビジャングルポケットの斉藤慎二
《連絡しても反応がない》タレント女性に不同意わいせつのジャンポケ斉藤慎二、周囲が懸念していた「感情の浮き沈み」
NEWSポストセブン
織田裕二
織田裕二、世界陸上にアンバサダーとしてカムバック 「世界陸上の顔」としての多大なる影響力を無視できなかったTBS 
NEWSポストセブン
お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二と妻・瀬戸サオリ
《家族と別居状態だったジャンポケ・斉藤慎二》妻は「一部事実と違う報道」インスタで言及の“決断”、不同意わいせつで書類送検
NEWSポストセブン
俳優、タレント、番組MC、育児と多忙な日々を送る二宮和也
《11月3日にデビュー25周年》嵐“6つの企画”が発表されても簡単ではない「グループとしての活動再開」 二宮和也は結成記念日にコメントなし 
女性セブン
ジャングルポケットの斉藤慎二と妻・瀬戸サオリ
【ロケバス不同意性交で書類送検】ジャンポケ斉藤メンバーが正月に見せていた妻・瀬戸サオリとの「シャネルやハイブラジュエリー物色」家族サービス現場
NEWSポストセブン
石破茂・首相の短期決戦の賭けはどんな結果となるか(時事通信フォト)
【10.27総選挙289全選挙区緊急予測】自民党が「53議席減」、自公でも過半数割れの衝撃シミュレーション結果 新閣僚3人も落選危機
週刊ポスト
詐欺罪などに問われている“頂き女子りりちゃん”こと、渡邉真衣被告(時事通信フォト)
パパ活“頂き女子りりちゃん”「獄中手記」1話300円で有料配信の狙い 電子書籍としても発売予定か
週刊ポスト
父娘ともにお互いを利用せず活動を続ける(Xより)
《あざと女王の森香澄アナ(29)ショック》「放送作家の実父」経営のラーメン店がオープン4カ月、『がっちりマンデー!!』放送直後に廃業の意外な理由
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の機関紙『山口組新報』、自虐ネタが消え〈物価高 嫁のやりくり ブッダかな〉〈値上げだと? 家の家計 音を上げる〉と経済苦を嘆く
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《「根拠のない情報」発言の真相》宮内庁の幹部たちが最も否定したいのは悠仁さまの「進学先」ではなく、「成績不振報道」だった 東大農学部とは“相思相愛”か? 
女性セブン
田村瑠奈被告と父・修被告
「俗に言う“お持ち帰り”をされた」「最後の行為でゴムを取られて…」父・田村修被告が証言した“瑠奈被告と被害男性のプレイ詳細”
NEWSポストセブン
ヤマハ発動機の日高元社長(共同、時事)
《娘に切り付けられ退任》ヤマハ発動機社長、事件前に目撃されていた“父娘の散歩” 名古屋出身も「俺はトヨタよりこっちのほうが…」見せていたバイク愛
NEWSポストセブン