ライフ

鎌田實氏 「忖度バカのディストピア」はゴメンこうむる

「忖度バカはいらない」と語る鎌田實氏

 いま、「忖度」がキーワードになっている。もともと他人の心を推し量るのは悪いことではないはずだが、現代ニッポンでは、「忖度バカ」とも言えるような人たちが増えている。そんな奇妙な空気を一掃するにはどうすればいいのか。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が指摘する。

 * * *
 森友、加計と続いている安倍晋三首相がらみの“お友だち優遇疑惑”で、ぼくの心に当初から引っかかっている報道がひとつある。それは、和泉洋人首相補佐官が「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言う」と前置きして、前川喜平前文部科学事務次官を水面下で説得しようとした、という報道だ。加計学園問題で、前川さんが総てのキーパーソンと名指しした和泉首相補佐官は、この言葉で文字通り、言えないけれど「忖度のリレー」を迫ったのではなかろうか。

 そもそも「忖度」は、決して悪いことではないし、相手の心中を推し量ってそれに応えることは、サービス業や営業職などでは必要不可欠な配慮である。同時に古くからの日本的な美徳でもあった。けれど、それが利権や利益誘導の場で働き出すと、一気におかしなことになってくる。国有地が8億円も安くなったり、国政に係わる霞ヶ関の優秀な官僚たちがなぜか大事な資料を大量になくしてしまったり、ついでに記憶もなくしてしまったりする。

 一方で就任以来、場をわきまえないファッションや自衛隊を前面に押し出した選挙応援演説などで批判が絶えない稲田朋美氏は、菅義偉内閣官房長官などと並んで安倍首相の“お友だち”のひとりとされている。

 ぼくの個人的印象では、稲田氏もまた安倍首相の考えを忖度して、その寵愛を失わないよう遮二無二がんばっているようにうつる。彼女が見ているのは安倍さんだけで他は見ていないから、次々に問題を起こす。それでも「任務を全うする」をひたすら繰り返してきた彼女は、日本政界のトップが私を守ってくれるという万能感があったのかもしれない。しかし、リゾートファッションやハイヒールで自衛隊の現場に現れる人が防衛大臣にふさわしい人物だったか否かは論を俟たないだろう。

“一強”と言われる安倍首相のお友だちグループ内にいると、安倍さんの顔色しか見えなくなって、他が支離滅裂でも一強のご威光(それとも、ご意向?)で押し切れる気になるのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
約40年、地元で愛された店がラーメンをやめる(写真提供/イメージマート)
《SNS投稿やグルメサイトの弊害》あっという間に人気飲食店になったことを嘆く店の人たち 問い合わせが殺到した中華料理店は電話を撤去、行列ができたラーメン店は閉店を決めた 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
大谷翔平の新投球スタイルを分析(Getty Images)
《二刀流復活》進化する“投手・大谷翔平” 「ノーワインドアップ」と「シンカーボーラーへの移行」の新スタイルを分析
週刊ポスト
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
結婚式は6月26日に始まり3日間行われた(時事通信フォト)
《総額72億円》Amazon創始者ジェフ・ベゾス氏の豪華結婚式、開催地ベネチア住人は「億万長者の遊び場に…」と反発も「朝食17万円、プライベートジェット100機貸し切り」で市長は歓迎
NEWSポストセブン
藤川監督(左)の直訴を金田氏(右)が存命であればどう評したか
阪神・藤川球児監督の「練習着にハーフパンツ着用」直訴で思い出される400勝投手・金田正一さんの言葉「大投手になりたければふくらはぎを冷やしたらアカン」
NEWSポストセブン
「札幌のギャグ男」公式インスタグラムより
《特別支援学級編入を決断した当事者の声》「小3の知能で止まっている」と宣告された中学1年生が抱えた“複雑な思い”「母さんを楽にしてやれるって思ったんだ」
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
仲睦まじげにラブホテルへ入っていく鹿田松男・大阪府議(左)と女性
石破“側近”大阪府連幹部の府議、本会議前に“軽自動車で45分ラブホ不倫” 直撃には「知らん」「僕と違う」の一点張り
週刊ポスト
国民民主党から公認を取り消された山尾志桜里氏の去就が注目されている(時事通信フォト)
「国政に再挑戦する意志に変わりはございません」山尾志桜里氏が国民民主と“怒りの完全決別”《榛葉幹事長からの政策顧問就任打診は「お断り申し上げました」》
NEWSポストセブン
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト