土屋氏は2010年にお茶の水女子大を定年退職。
「それでも働いているうちはまだいい。残業したり寄り道したりと家に帰らない口実は簡単に作れます。定年後はお金もないから図書館くらいしか行く場所がない。公園で子供たちの姿を眺めていたりすると、不審者扱いされますからね(苦笑)。いまや図書館はそういうおっさんばかりです」
前出・小林氏は「妻を怖がる男性の場合、家計を妻に握られていることが多い。暇つぶしのパチンコにも行けません」と語る。
◆もう一度働こう
土屋氏がいうように、定年後の帰宅恐怖症に職場という“避難先”はない。
「友人宅に遊びに行く予定をなんとか詰め込もうと、あちこちに連絡を取り続けています」と話すのは元会社員の60代男性。
「退職して知ったが、妻が昼に酒を飲み荒れている。独立した子供は“仕事ばかりだった父さんの責任”といって助けてくれない」
定年によって、それまで気づかなかった家庭内の問題に直面した事例だ。