体は不自由でも、心は自由な哲也さんに感動して、ぼくは彼のことを本に書いたり、講演で話したりした。哲也さんはとても喜んでくれて、その本を何冊も買って、昔の仲間に送っているという。
「オレはこうやって元気で生きているぞ」と伝えたかったのだろう。最近、哲也さんは、諏訪中央病院の往診医と俳句の交換を始めたと聞く。
「早五年 胃ろうで生きてよろしいか」
「力出ず 痛いかゆいはわかるのに」
「いろいろな出会いがあって生きている」
自分を理解しようとしてくれる人がいることで、哲也さんの創作意欲はますます活発になっている。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。2017年8月23日(水)に小学館カルチャーライブ!にて講演会を開催予定(https://sho-cul.com/courses/detail/27)。
※週刊ポスト2017年8月11日号