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寝たきり状態の脳幹梗塞患者による「まるで山頭火」な言葉

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 病を得て寝たきりになっても、考えることを続けていることが少なくない。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、寝たきりの状態が続く男性がつむぐ不思議なリズムの言葉から、医療や介護にとって重要な仕事とは何かを考えた。

 * * *
「まるで、山頭火だ!」

 脳幹梗塞の哲也さん(仮名、50代)を往診したとき、ぼくは思わず感嘆の声をあげた。

「パイン みそ汁 あんパン せんべい 甘酒 レーズン」

 食べ物を羅列しただけのものだが、繰り返し声に出して読んでいると、不思議なリズムが生まれてくる。種田山頭火の自由律俳句のようだ、と思った。

 哲也さんは、脳幹部に障害を受け寝たきりの状態が続いている。言葉を発することはできない。手足を動かすこともできない。いわゆるロックドイン症候群(閉じ込め症候群)である。

 ロックドイン症候群になると、感じること、考えることの機能は保たれているものの、それをアウトプットする方法が限られる。

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