登山事故の実情を語る長谷部雅一氏

◆スマホの普及で山中での会話も減 単独登山の危険性

 アウトドアプロデューサーの長谷部雅一氏は、「遭難の比率でもっとも多いのが道迷い。帰り道がわからなくなったというケースだと言われています」と指摘する。また高齢者の割合が多いことについて、「体力、精神力みたいなところが(弱い)、あとは装備の古さも目立ちます。ここ数年、単独山登りでの遭難が目立つのは、(登山を)趣味にしたはいいが、仲間を集うことができずに1人で登った結果、遭難するということ」と分析。

「そういった状況で携帯電話・スマホを使うも、電波が入らない場所がまだまだ多い。かつ、そういうところで通信をしようとすると電池の消費も激しく、モバイルバッテリーでももたない。

 さらにこれは実体験ですが、単独登山者の大きな問題として、最近コミュニケーション手段が電子機器であり、それが山の場面でも見受けられるということ。少し前では『天候どうなりますかね?』など、すれ違いざまに会話をするのが常だったが、最近はなかなかそういったコミュニケーションをとらない現状になっている」(長谷部氏)

 話をしていれば、どのへんが危険そうか、といった雑談もできる単独登山、かつ山中でもコミュニケーションをとらない人が増えているとなると、仮に遭難者が出たとき、「あのあたりで話をしました」という目撃情報も得られない可能性が高い。

「そういったときに、(外部の人が、登山者の)位置がわかるシステムというのは使いやすいんじゃないかなと思います。幼稚園や保育園で集団登山することがありますが、保護者が、子供が今どのへんを歩いているのか確認できるのは安心にもつながります。山っていうのは、こういう器具がないと危ないんだなということを知ってほしい」(長谷部氏)

 長谷部氏は、「憧れだけで山に入ってはいけない。まずは正しい、アナログの知識をつけること。自然というのは絶対に敵わないもの。地図が読めて、コンパスが使えて、自分の体力を図り、そのうえでこういうバックアップを使えると、より安全に楽しめると思う」と呼びかけている。

関連キーワード

トピックス

愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
羽生結弦が主催するアイスショーで、関係者たちの間では重苦しい雰囲気が…(写真/AFLO)
《羽生結弦の被災地公演でパワハラ告発騒動》アイスショー実現に一役買った“恩人”のハラスメント事案を関係者が告白「スタッフへの強い当たりが目に余る」
女性セブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
『ここがヘンだよ日本人』などのバラエティ番組で活躍していたゾマホンさん(共同通信)
《10人の子の父親だったゾマホン》18歳年下のベナン人と結婚して13年…明かした家族と離れ離れの生活 「身体はベナン人だけど、心はすっかり日本人ね」
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン