ライフ

年金支給年齢引き上げ 働けば働くほど高い医療費払わされる

年金支給年齢引き上げは高齢者の医療費にも影響

 政府は年金の支給年齢を75歳に引き上げる検討を始めている。仮に「75歳以降が年金を受け取れる高齢者」と定義が変わっても、歳を重ねるほど体は不調をきたすことが多くなり、医療費の負担がかさんでくるという事実は変わらない。

 現行制度下においては、高齢者の医療費は公的制度による軽減策が充実している。生活経済研究所長野の塚原哲・事務局長の解説。

「70代、80代でも入れる民間の医療保険が宣伝されていますが、年齢とともに掛け金も高額になる割に給付額が少ないので、あまりお勧めできません。高齢者の場合は、公的な『高額療養費制度』による自己負担の軽減策が充実しています。病院の窓口や薬局で支払う自己負担分が一定額を超えると、超過した分が返ってくる仕組みになっています」

 この高額療養費制度を使うと、70歳以上であれば、住民税非課税世帯で年金額が80万円以上という一般的なケースで、月ごとの医療費の自己負担額は2万4600円が上限になる設計になっている。

 ただ、年金75歳受給時代は前提が大きく変わる。74歳までは「年金はもらえず、とにかく働く」ということになると、公的年金控除がなくなり、所得に住民税が発生してくる。それが高額医療費の負担においても、大きな影を落とすことになる。自己負担が一気に跳ね上がるのだ。住民税課税世帯では70歳以上であっても高額療養費の自己負担上限は、5万7600円となる(年収156万~約370万円の「一般」区分の場合)。

 つまり、「必死で働けば働くほど、高い医療費を払わされる」という悪循環に陥ることになるのだ。それだけではない。社会保険労務士・蒲島竜也氏はこう指摘する。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン