外相歴が4年以上に及ぶ王氏からみれば、外相就任からたった4日しか経っていない河野氏はまさに「ひよっこ」としか見えないだろうが、外交儀礼的に見れば、同じ外相の立場だけに、王氏の発言は無礼千万ともいえる。そうやって、王氏は河野氏を威嚇して、今後の外交交渉で優位に立とうという思惑が働いたとも想像できる。
これに対して、河野氏は「中国には大国としての振る舞い方を身につけていただく必要がある」と述べて、逆に王氏にやり返して、一歩も引かなかった。この発言に、王氏はたじたじとなり、結局何も言い返せず、河野氏の鮮烈な外相デビューを印象付けた。
ところが、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際問題紙「環球時報」は1面トップで、河野外相が深々と王氏にお辞儀をしているなか、王氏は直立して、さも河野外相を見下しているような構図の写真を掲載した。まるで、日本が中国に朝貢外交していることを印象づけたのだ。
「中国4000年の歴史」だけに、中国の外交交渉は一筋縄ではいかないことを示しているようだ。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は「日中間の最初の外相会談ではお互いがやりあい、引き分けに終わったが、河野外相が中国にとって敵か味方を判断するには、もう少し時間が必要だ」などと指摘している。