度重なる挑発に堪忍袋の緒が切れた幕府は薩摩藩邸を砲撃した。当時はちょうど王政復古の大号令が失敗した時期にあたり、「討薩」を願う幕臣から圧力をかけられた慶喜は、大坂城から「討薩表」と掲げた部隊を京に差し向けた。これに薩摩が“待ってました”とばかり砲撃を加えて勃発したのが、戊辰戦争の先駆けである「鳥羽伏見の戦い」だ。
軍事クーデターに失敗して不利な立場にいた薩長は、江戸市中で仕掛けたテロを契機にまんまと戊辰戦争に突入し、結果的に討幕を成し遂げた。
■聞き手・構成/池田道大
※SAPIO2017年9月号