ところで、話は変わって一般論ですが、人は過去を正当化したくなる生き物です。「なかったこと」にしたり「仕方なかった」と思い込んだりするために、都合のいい情報や理屈をあの手この手で探してくるのが得意中の得意。本人は満足かもしれませんが、はた目から見ると「うわ、痛ッ」「うわ、恥ずかしー」という印象を抱かずにはいられません。
誰しも仕事にせよプライベートにせよ、できれば思い出したくない、どうにか「なかったこと」にしたい失敗をしてしまうことはあります。しかし、半端なごまかしや自己弁護は大人の名折れだし、周囲の信頼も失ってしまうでしょう。逆に、相手が信用できる人かどうかは、「自分の失敗を真摯に認めるかどうか」で決まると言っても過言ではありません。
うっかり甘い誘惑に負けないために、そして、甘い誘惑に負けてしまっている人を見分けるために、どの出来事とは言いませんが過去の大きな失敗に関して、それをなかったことにしたい人たちが、「自分にとって都合のいい結論を自分に信じ込ませる」ためにどんなノウハウを駆使しているか、あらかじめ押さえておきましょう。それを反面教師や他山の石にすることで、大人の自制心を早めに働かせることができます。
【過去の失敗をなかったことにしたい人が使いがちな3つのノウハウ】
●反面教師のノウハウその1「相手にも悪いところがあったに違いないと、とくに根拠もなく主張する」
ひどい目に遭わせたという確かな事実を棚に上げて、それは相手にも悪いところがあったからからに違いないと言い出します。とくに根拠もなく、そもそもとても釣り合わない小さな事柄を引き合いに出してきて、なぜ何の疑問も抱かず、ひどい目に遭わせたことに正当性があったと思えるんでしょうか。何も悪いことはしてないのにひどい目に遭わされた人たちについては、「そいつらと仲間だから悪い」という理屈のようです。