都合の悪い過去を認めないのは大人のすることではない。だがSNSではそのような「大人」も大勢いる。彼らを反面教師として真っ当な大人になるためには。大人力コラムニストの石原壮一郎氏がアドバイスする。
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難しい問題だとは思いますが、はっきりしているのは「あのとき、日本人はとんでもない過ちを犯してしまった」ということです。目をそらしたり否定したりといった甘い誘惑を振り切り、何があったかちゃんと直視したいもの。それが大人として胸を張って生きていくための必須条件であり、同じ過ちを繰り返さない第一歩です。
関東大震災が起きて94年目の9月1日、東京・墨田区の横網町公園では「関東大震災遭難者及び都内戦災遭難者秋季慰霊大法要」と「朝鮮人犠牲者追悼式典」が行なわれました。小池都知事の「追悼文をめぐる問題」をきっかけに、この日のセレモニーのことを知って、お恥ずかしながら訪れた次第です。とくに深い考えも政治的な主張も何もないので、やじ馬と言われたらそれまでです。来てみて初めて、この場所が関東大震災のときに3万8000人の犠牲者を出した「陸軍被服廠跡」だということも知りました。
「朝鮮人犠牲者追悼式典」が行なわれているすぐ近くでは、「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」という看板を立てて、別のセレモニーを開いている人たちもいました。「真実の~」を行なっている一角を囲むように、たくさんの警察官が立っています。公園にはたくさんの報道陣も集まっていました。前の大通りの歩道には、この日のこの公園が特別な場所であることを示すかのように、さまざまな屋台がビッシリと並んでいます。