民間企業は業績が傾けば倒産も人員整理も起こる。その際真っ先にターゲットになるのが再雇用組だ。一方で公務員はクビにならない身分保障がある。そうした前提の違いの上に、さらに官民格差があるのだ。
退職後の官民格差は福利厚生にも及ぶ。民間サラリーマンが再雇用されると、現役時代のように企業の福利厚生は受けることができなくなるケースがほとんどだが、公務員は違う。
医療面では、「人間ドック補助制度」が、定年後の再任用職員に適用されることもある。東京都では、再任用の短時間勤務職員(週15時間勤務など)が「東京都人材支援事業団」(都が全額出資する財団法人)指定の医療機関で人間ドックを利用すると、1回4万~5万円ほどの料金が2万5000円割引きされて半額以下になる。同財団によれば「平成28年は900人の会員の方が利用されている」という。
この事業団は「都民福祉の向上」を謳っているものの、主に都の職員と退職者限定の福利厚生事業を行なっており、大手百貨店や旅行代理店など多くの企業と提携して、海外旅行や引っ越し費用の大幅値引き、果ては天丼の割引きクーポンなどがついたショッピングカタログを職員と退職者に毎月限定配布している。
まさに役人の生活を“ゆりかごから墓場まで”格安で面倒見てくれる仕組みだ。
※週刊ポスト2017年9月22日号