ライフ

前立腺がんや不整脈の手術 そもそも必要性に疑問符つく例も

手術自体の必要性も慎重に検討すべき

 開腹せずに腹部に小さな内視鏡を入れて行なう腹腔鏡手術。最近では、前立腺がんでも腹腔鏡手術で治療するケースが増えた。自己負担額は入院費などを入れて実質、20万円ほどになるが、手術自体の必要性に疑問符がつく例が少なくないという。

「前立腺がんは進行がかなり遅いことがわかってきたので、海外では監視療法といって治療をせずに定期的に検査をして追跡調査する方法を取ることが増えてきています」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)

 前立腺がんは高齢になって発症するケースが多いため、「放置する」という選択肢もある。不整脈でもっとも多い「上室性頻拍」では、ペースメーカーの移植手術が施されることがある。しかし、これも疑問視する声が上がっている。

「ペースメーカーが高額で100万~150万円するため、入院費と合わせて総額は200万から300万円になる(高額療養費制度の適用可)。それに加え、術後には定期検査や電池交換も必要になり、その都度、費用がかかりますし、QOL(生活の質)にも影響します」(前出・室井氏)

 これに対しても、米国の不整脈学会は「症状がなく、心房が原因で心拍がゆっくりになる場合」については、ペースメーカーが有効かは明確な臨床研究がないため、「移植すべきでない」という方針を示している。

 効果が不明なのにペースメーカーが埋め込まれているケースがあるということだが、だからといって費用が安くなるわけではない。

 必要のないものを埋め込まれたうえ、死ぬまで定期検査と電池交換の負担をさせられるというのではたまらない。

※週刊ポスト2017年9月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
選手着用のレオタードやジャージから「スポンサーロゴ」が…(協会のSNSより)
新体操日本代表・フェアリージャパン「パワハラ問題」でレオタードから消えた「スポンサーロゴ」 スポーツ庁が求めた第三者調査を“秘密裏に実施”との関係者証言も
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
麻田雅文氏(左)と小泉悠氏
《『日ソ戦争』麻田雅文氏×小泉悠氏対談》ソ連の講和仲介に期待した日本人の「アメリカよりロシアのほうが話せる」という感覚
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン