高齢者を死ぬまで働かせ、一方で年金は減らそうというのだ。高齢者は60歳定年以降も8割以上の人がそれまで務めていた企業で再雇用され、大幅な賃金の引き下げを渋々受け入れて働き続け、そのうえ、稼いだ分はしっかり年金を減らされるという、いわば“国家的なブラック労働”に耐えている。
それもこれも、「年金財政が苦しいから仕方がない」「子や孫の世代の負担が少しでも軽くなるのなら」という一念からだ。
小泉氏が富裕層に年金の「自主返上」を求めるのは結構だが、まず少ない稼ぎから老後の年金を強制的に召し上げられている働く高齢者(在職老齢年金受給者)の自助努力に感謝するのが先ではないのか。その働く高齢者の我慢が年金財政に大きく貢献しているはずだからである。
※週刊ポスト2017年9月22日号