◆待機児童、介護の問題にどう取り組むか
いつまでもこんな状況が続くなら、AIが政治をしたほうがよっぽどマシと思えてしまう。AIが首相なら、ご寵愛の大臣やお友だちをえこひいきするようなこともない。文書もきちんと保管ができるだろう。そうすれば、政治家の数も、官僚の数も減らすことができ、透明度の高い、公平な政治的判断ができるようになるのではないか。
少子化対策が必要といいながら、保育の待機児童はなかなか減らない。シングルマザーが、保育園が見つからないために、子どもを預かってくれる風俗店で働くようになった例もあると聞く。
介護の問題も深刻だ。毎年10万人が介護を理由に離職している。仕事をしながら介護している人は240万人もいる。経済的にも、肉体的にも、精神的にも追い詰められ、悲劇的な事件を起こすことも少なくない。介護殺人はこの6年間で326件発生した。
ぼくが学生時代のころ、脳性麻痺の人たちの団体「全国青い芝の会」の活動を記録した「さようならCP」という映画の上映会を手伝ったことがある。1960年代後半の話だ。
重度の障害をもった息子を父親が殺してしまう。社会的サポートが少ないから、こんな事件を起こしたのだと、父親への情状酌量を求める運動が行なわれ、無罪になった。そのとき、青い芝の会の人たちはこんなふうに言った。
「介護できなくなったら、放り出してくれればいいんだ。どうして無理心中なんてしようとするんだ」「自分がいなければ、おまえは生きていけないなんて、勝手に決めるな」「放っておいてくれ」
ここから障害者の自立運動が始まっていく。