佐藤:和田先生がご著書で説かれている先取り教育の重要性、感銘を受けました。私も、小学校に上がってから初めて1+1を学んだり、ひらがなを勉強するのは遅すぎると思っていて。先へ先へ、と幼稚園から算数や国語を教えていました。小学校入学時、学校で先生の話すことが全て理解できるレベルになっていれば、「ぼくはできるんだ」と自信が持てるし、親も「最初にこれだけやっているんだから」という心の余裕が生まれる。
和田:子供の自己肯定につながるんですよね。「理解できる」ということが成功体験になりますから。それに、親の心の余裕、というのは子育てにおいて極めて重要です。お受験組の親に多いのが、試験を前にして、「なんでこんな問題ができないの!」と焦って手を上げてしまうケース。子供は萎縮するだけです。親の焦りは何も生み出しません。
佐藤:スタートが早すぎて困ることはないと思います。次男は3月30日生まれなんですが、周りから相当責められたんです(苦笑い)。なんでこんな時期に産むんだって。4月2日生まれの子に比べたら、1年も違う。その差は大きいし、実際に兄弟が通った灘中の先生も「うちの生徒は4~7月生まれが多い」という話をしていたこともありました。
結果的に、次男は生後8か月の時から公文に入れました。「歩いてもいない子を公文に入れるなんて」と、周囲からは散々文句を言われましたが、むしろ遅れているからこそ早く始めなきゃダメ。最初からビハインドがあるんだから。
和田:3月生まれの子が4月生まれの子にかけっこで勝つ、というのは幼少期であれば非常に難しい。肉体的な問題なので。でも数を数えたり、字を教えたり、というのは先に教えていれば勝つことは充分可能なんですね。
確かに東大合格者も4~7月生まれの子供が多いのですが、それは幼少期に培った「自分はできる」という自信を、その後も持ち続けて上昇気流に乗ったから。逆に言えば、早生まれの子供であろうと、先取り学習で子供に自信をつけさせれば、結果はついてきます。いわば“勝ち癖”をつけさせるということです。
佐藤:自信をつけさせる上で私が気をつけたことは、「結果に対しては絶対に怒らない」ということ。これは幼少期から今まで一貫しています。テストの点数に文句をつけるのは意味がないのです。結果は変わらないし、子供は落ち込むだけ。60点だったら、落とした40点を次に取るための方法を一緒に考えるようにしました。
和田:心理学的にも理想の姿勢です。褒め方、叱り方の点でいえば、「結果は褒めて、行動を叱る」というのが原則です。40点取ったのにその後も怠けているとか、なぜ間違えたかを考えようとしない姿勢は叱る。その逆で、結果を叱る親が多いんですね。子供が自信を失う典型です。
※女性セブン2017年10月5日号