このほか新疆ウイグル自治区では頻繁にテロ事件が起こっていると伝えられるほか、イスラム国(IS)も「中国政府はイスラム教徒を迫害している」などと批判し、テロ攻撃の対象と宣言。中国政府は警戒を強めている。
このため孟氏が同自治区を視察し、AI導入によりテロ事件を未然に防ぐとの対策を打ち出したといえよう。具体的には、これまでテロ事件やテロ犯全員の詳細なデータを入力し、テロ犯らの行動パターンを割り出して、いつ、どこで、どのようなテロ事件が起こるかを予測するというもの。
これについて、中国紙「新京報」は北京の治安維持部門幹部の話として、「他の国でも、すでに起きたテロ事件の情報入力は行われているが、その解析は十分ではない。2000年9月11日の米同時多発テロでも事前にテロ実行犯は当局にリストアップされていたが惨劇は防げなかった。中国の場合、テロ事件の予測に主眼が置かれており、これが実現できれば世界で初めてとなる」と指摘する。
だが、ある北京の専門家は「予測情報だけで、容疑者を拘束すれば、誤認逮捕につながる恐れがあり、人権が無視される可能性も出てくるだけに、治安維持のためのAI利用はもろ刃の剣だ」と警鐘を鳴らしている。